2011.6.19

“核に対するノーを叫び続けるべきだった。”
日本の誇る世界的作家の村上春樹さんがある受賞式で語った言葉です。彼は演説の中で、かなり厳しい言葉を日本社会と政府、東電に向けて投げかけていました。世界唯一の被爆国であり、核兵器の恐ろしさを身にしみるほど知っていながら、世界一の経済大国という誘惑にあまりにも簡単に原発と和解の握手をしてしまったことへの反省と悲しみからの言葉でしょう。
先日テレビ番組で、世界最高レベルの地熱、太陽光などの自然エネルギーの技術をもち、世界へと輸出している国が日本であることを知りました。にもかかわらず、“コストが高い”という理由で、自分の国では利用せず、海外からお金を稼ぐ手段でしか考えていなかったその愚かさと、しかも、今は原発事故によるとてつもない被害と痛みを追わせている者たちが、はやい経済復興と効率のために原発を諦められないと訴えている現状…。情けない思いと憤りを覚える近頃です。
神は人に知恵を与えられ、自然を美しく管理しながら幸せを生きることを望まれました。人は神からいただいた知恵を用いれば必ず、みんなの益になるエネルギーを見出す力をもっています。
キリスト者として、今わたしたちに求められているのは、罪と誘惑からの断絶です。間違いであることを知っていながら、「効率」や「経済発展」、「欲望」といったことのために、闇の誘惑に目をつぶってはならないのです。わたしたちは“光の子”であり、神の国と神の義を求めていくようにと使命を与えられていることを忘れないことです。シャローム