ねえおかあさま、ごろごろと
雨雲がとどろいて
アシャル月に
雨がざあざあふってきて
東風が広野をわたって
ふきはじめると
竹林がひゅうひゅうと
笛を鳴らしているようです
そのとき、おかあさま、見てください---
どこからか花があらわれて
地面いちめん
花でうめつくされているのを。

花たちはみんな学び舎の生徒ですよ
本とノートを小脇にかかえ
地面のしたにある
花たちの学校にいます。
扉を閉めた部屋で
花たちは学びます
あそびたがると先生が
立たせておきます。

・・・

深い森のおくで
梢や木の葉がざわめきます
雷がとどろくと
それが花たちの四時半です
学校がひけるとだれもが
いっせいにかけだしてきます
黄、赤、緑、白の
いろとりどりの服装で。

だれをもとめて花たちが
手をさしのべているのか
ぼくにおかあさまがいるように花たちにも
おかあさまがいると思ってみて。
        *タゴール『お母さま』(内田眞理子編訳)「花の学校」より

この詩は詩聖と呼ばれ、生命の詩人として知られるタゴールがお母さんを亡くした次女のために書いた詩です。冬の厳しい寒さを乗り越えて、春になると一斉に出てくる花の生命力とその美しさを歌っている詩です。真の命を与え育ててくださる父なる神と神の愛と命の素晴らしさを教えてくれた母親の皆様に感謝しつつ。シャローム