2015.12.6

『 神の時を選ぶ人は幸いです③ 』(ルツ記1:14〜18)
 世界中の人の中に、未来について知りたがらない人はいないと思いますね。“明日はいい天気になるだろうか、今度受ける試験の結果は、年末ジャンボ宝くじに当たるかどうかなどなど。その時に伴うわたしたちの選択と決定がどんな結果をもたらすかについて絶えず知りたがるのです。だからでしょうか。最近の書店の目につく本棚には、成功するための方法や選択、決断に関する本が多く並べられていることに気づきます。まさに今の時代の人たちが飢え渇いているものこそ、将来への確かな答えであることが分かるのです。
 前回までわたしたちは、大変な飢饉に襲われたイスラエルを離れモアブに移る選択をしたエリメレクとナオミ家族のことを分かち合ってきました。幸せを求めてやってきたモアブの地で最も大切だった夫と二人の息子を亡くしてしまったナオミ、彼女は故郷であるエルサレムに戻ることを決心することになります。そこでナオミはモアブの地で得た二人の嫁たちに別れを告げます。恐らく今までの間違った選択をしたモアブでのすべてを消し去りたかったことでしょう。その結果、二人の嫁のうち、オルパはナオミに別れを告げ離れてしまいます。しかし、もう一人の嫁ルツはナオミを離れず、ナオミのもとに留まることを決心します。その時のルツの言葉です。“わたしは、あなたの行かれる所に行き、お泊まりになる所に泊まります。あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神。 あなたの亡くなる所でわたしも死に、そこに葬られたいのです。”(1:16〜17)・・・ルツの決断がいかに確かなものであったのかがうかがえる箇所です。
 モアブ人であったルツにとって最善の選択とすれば、そのままモアブに留まることでした。一度も行ったことのない国、頼りとなる夫もいませんし、安定した経済力もない状況です。しかも彼女は異邦人、イスラエル人たちが一番軽蔑する存在が異邦人でした。さらに彼女は神に呪われた存在とされていたやもめ。・・・聖書には記されていませんが、当時のルツの選択における悩みと不安は大変なものであったに違いありません。
 神はわたしたちの人生において何度も厳しい選択の場に立たせておられます。多くの場合、わたしたちの選択の基準となるものは身の安全、安定した生活になります。ですからルツのように安定した場所を離れ冒険の旅に出かけるということは大変な勇気の要ることでした。しかし神は目に見える安全や安定ではなく、神の御心による神の時を選ぶ人を祝福され、その人を通して神の救いの業を成し遂げられるお方です。その通り、ルツのこの選択は後に大いなる神の祝福に与ることになります。アドベント、神ご自身が天国の栄光の御座を捨て、罪と暗闇の世界に到来された時です。神のこの究極の選択のゆえにわたしたちに救いが訪れたのです。