2015.12.27

 〜 「シャローム」を生きる 〜
 「今年の漢字」に「安」が選ばれました。日本国民はなぜ「安」という字を選んだのでしょう。「安」の辞典的意味は「変わったことがなく穏やかに落ち着いている」です。「安」が選ばれた理由を考えてみると、テロや戦争の混乱にある世界情勢と、それに刺激され強制的に可決された「安全保障関連法案」に対する日本国民の葛藤や、異常気象による自然災害、円安などにより、人々が抱いている不安の現れではないかと思います。
 一年を終え、また新しい一年を始めようとするこの時期、人々が平安な状態で暮らしたいという願望を抱くのは当然のことでしょう。しかし目に見える現実は平安や安心どころか、不安の方が目立っていると言えましょう。それでは、人々の周りからテロや戦争、自然災害などがなくなれば本当の平安を得られるのでしょうか。
 “シャローム (shalom:שָׁלוֹם)”、「安」を意味する聖書の言葉です。ただし「シャローム」は「安」のように目に見える状況が穏やかに落ち着いているだけで得られるものではなく、一方その反対の状況、戦争、病気、貧しさ、死、自然災害といった人間が追い込まれてしまいそうなどんな状況においても、このシャロームは失われることがありません。なぜならば、創造者なる神との関係の中にあって決して揺らぐことのない究極の平安、それがシャロームだからです。
“何事も思い煩ってはならない。ただ、事ごとに、感謝をもって祈と願いとをささげ、あなたがたの求めるところを神に申し上げるがよい。そうすれば、人知ではとうてい測り知ることのできない神の平安が、あなたがたの心と思いとを、キリスト・イエスにあって守るであろう。”(フィリピ4:6,7)