2016.12.11

 福島から横浜市自主避難した中学生が、転入先の市立小学校でいじめを受けて不登校になった経緯を書いた手記が公表されました。「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」。このニュースを見た時、この少年が生きる選択をしたことに安堵すると共に、心に激しい痛みが走りました。
 地震津波福島第一原発事故の恐怖を経験し、命の危険にさらされた子どもたちが避難した町で同級生から受け入れられず、ひどい差別を受けていることに深い悲しみを覚えます。いじめによる子どもの自殺が頻繁に報じられる中、ここまで他者の痛みを理解できなくなった人がいることを嘆きます。
 子どもが懸命に話しかけているのにスマホから目を離さない親、通勤時にゲームをしていて周りが見えない若者・・・一体、現代の人々はどうなってしまったのだろうと思います。美しい日本、日本の心を大切にというスローガンとは裏腹に、私達が大切にしてきたものとは何だったのでしょうか。
 戦後、何故ヒトラーのような独裁者をドイツの人々は支持したのだろうかと不思議でなりませんでした。ナチズムのドイツと日本は、何故同盟を結んだのだろうかと。排外主義的で自己中心的な思想が人々の心を占める時、命と人権を大切にしなければいけないという倫理観は簡単に崩されてしまいます。
 アメリカでトランプ氏が大統領に選ばれ、いま再び、排外主義的な考え方が支持されたことに驚きます。また、就任前にも拘わらず、倫理観が疑われるような大統領候補者を訪問する日本の首相の政治姿勢にも疑問を感じます。経済優先とナショナリズムの中で国を破滅に追いやり、アジア太平洋の人々の人権を踏みにじり命を奪った戦争の歴史から、私たちは何も学んでこなかったのでしょうか。
・・・ (中略)
 イエス・キリストの誕生を待ち望むアドベントを迎えました。差別や戦争などで人々が敵対する中、神様は、イエス・キリストの愛と罪の赦しを通して平和をつくろうとしています。東日本大震災以降、YMCAは今も、福島の子どもたのリフレッシュキャンプを行っています。子どもたちと家族に寄り添い、少しでもその力となれるように、私たちは行動することを続けてまいります。                                                島田 茂 兄