2018.8.12

〜 主よ、もう一人を助けさせてください 〜
   “殺してはならない。(出エジプト20:13)”
 メル・ギブソン監督が、沖縄戦で最も激しかった前田高地での戦いを背景にして、作り上げた戦争映画が『ハクソーリッジ』( Hacksaw Ridge)という映画です。しかし、この映画はただの戦争映画ではなく、戦争の悲惨さの中で、一人の人の命がいかに大切であるか、また、平和を作り出す者としての、キリスト者のあるべき姿を示してくれる名作です。
 映画の主人公は実在の人物であるデズモンド・ドス。彼は、十戒のうち六戒の“殺してはならない”という神の命令に従い、「良心的兵役拒否者」として銃を持つことを拒否しながらも、辛うじて衛生兵として戦争に参加することになります。彼の心を支えていたのは、「隣人を自分のように愛しなさい、敵をも愛しなさい」という、主イエスの御言葉、また「死んでいく人を救う」という召命でした。デズモンドは、“何人殺したのか”が誇りとなる戦場において、“死んでいく人を助ける”ことに焦点を置いて走り回ります。激しい戦闘が繰り広げられる中、デズモンドは、身の危険にさらされながらも、“主よ、もう一人助けさせてください。もう一人・・・”と祈りつつ、敵陣に向います。彼が救った75名の兵士の中には、アメリカ軍だけでなく、日本軍も含まれていたことから、国家や民族を超えた神の愛が、彼を働かせていたことが分かります。神の愛の前に、民族や国家の壁は崩されていき、一人の命の尊さが輝きます。
 神の家族の皆さん、御言葉を実際の生活に100%適用しながら生きるということは、大変難しいことです。そういうことは、人の頑張りや努力によってできるものではありません。イエス・キリストの十字架の愛に心打たれつつ、生きておられる神の臨在と、御言葉に励まされる時に初めてできることでしょう。私たちも、霊的戦争が繰り広げられる戦場に遣わされた福音の衛生兵であることを覚えつつ、死んでいく一人一人のところに出かけましょう。シャローム