2011.7.10

『 喜びへの招待 』(ルカによる福音書15:8〜10)
ルカによる福音書15章には3つのたとえ話が登場します。99匹の羊を野原に残して捜し出す羊飼いの話、家出をした末、物乞いになって帰ってくる放蕩息子を迎え入れるお父さんの話、それから、10枚のドラクメのうち無くしてしまった一枚を一生懸命に捜し出す女の話。これら3つのたとえ話をつなぐ主題として、“失う”と“見つかる”にまとめることができます。そして、すべての物語は喜びで終わっています。
何か大切なものを無くしてから見つけ出した経験は誰にでもあります。イエス様はこのような身近なテーマを用いて神の国の大切な精神をわたしたちと共有しようとされるのです。
無くしてしまった一枚のドラクメを見つけた女は、友達や近所の人々を呼び集めて言います。 『無くした銀貨を見つけましたから、一緒に喜んでください』
彼女は、人々を自分の捜し出した喜びへと招待しています。他の人から見たら“たったの一枚のドラクメ”かもしれません。しかし、それを見つけ出した彼女の喜びは人々を招待するほどの価値あるものに変わっています。その喜びがいくら小さなものであっても、その喜びを分かち合うと、大きく膨らみます。その小さな喜びを分かち合うことに神の国の広がりのビジョンが隠れているのです。
3.11の大震災の後、日本社会は無気力に陥り、何もかも失ってしまった喪失感で満ち溢れています。そこで、求められるのが喜びへの招待。今まで人々が無くしていたもの、失っていたものを捜し出して“わたしと一緒に喜んでください。”と、周りの人々を神の国の喜びへと招待する神の家族一人一人でありますように・・・。
一枚のドラクメで何ができるでしょうか。しかし、聖書はその一枚によって神の国の喜びの祝宴が開かれると教えます。ハレルヤ!