2011.10.2

『 分け隔てしない神 』(使徒言行録10:9〜16、34〜35)
 今日の御言葉は、キリスト教の歴史においてとても大切な場面です。ユダヤ教という枠を超え、異邦人へと福音が広がる大きな転機となった出来事が描かれているからです。もともと、イエス様は福音がエルサレムからユダヤ全土、サマリア、世界の地の果てまで広げることを弟子たちに命じられました。しかし、弟子たちは今まで自分たちが歩んできた道から離れて、新しい道を開こうとしませんでした。イエス様は全世界、全人類と言われていたのに、弟子たちはエルサレムユダヤの壁をなかなか打ち破ることができなかったのです。
 そこで、ステファノの殉教と共に初代教会に大きな迫害が起きます。その結果、クリスチャンの多くが海外へと散らばっていくことになります。神は弟子たちが自発的に出ていくことを望んでおられましたが、弟子たちは現実に安住して出て行こうとしなかったために、神が強制的な手を使われたわけです。
 このような状況の中で、今日の出来事も理解できるのです。初代教会のリーダであったペトロとローマの百人隊長のコルネリウスとの劇的な出会いの中に、神が積極的に介入されます。いまだ異邦人の救いを認めていなかったし、しかも彼らと交わりながら福音を伝えるということは夢にも思わなかったことでした。しかし、神は異邦人伝道へのビジョンをペトロに幻を通して示されます。
“主よ、とんでもないことです。清くない物、汚れた物は何一つ食べたことがありません。”と主張するペトロ。“神が清めた物を、清くないなどと、あなたは言ってはならない”ととどめを刺す神。この後のペトロの告白、“神は人を分け隔てなさらないことが、よく分かりました。”ここに、神の熱情が見えます。わたしたちも皆汚れたものでした。しかし、神はイエス・キリストの十字架の愛を通して清くし、神の子としてくださいました。ハレルヤ!