2012.3.4

 『神の恵みへの応答』(マルコによる福音書12:41〜44)
 今日はスチュワードシップについて考えてみたいと思います。辞典的意味として「スチュワードシップ(stewardship)」とは、預けられたものを、責任をもって管理することで、「管理責任、または管理人としてのあり方」という意味をもっています。そして、聖書から示されているスチュワードシップとは、ひとことで言えば「神の恵みに対する応答」であります。即ち、“わたしたちの持っているすべてのものが、神からいただいた恵みであり、その恵みに対する応答として、ふさわしい時に自分自身の時間、才能、持ち物を神の御前に差し出す実践的行為”を含む言葉であると言えるでしょう。そして、スチュ
ワードシップにおける二つのキーワードがあると言われています。それが、「感謝をもってささげること」と、「惜しまずささげること」です。
 しかし、人は献げられたものの「量の多い、少ない」を見てその価値を判断しようとする悪い癖をもっています。しかし、聖書はそのように教えていません。神が第一に見てお
られるのは、献げる人の恵みに対する感謝と喜びの真心の大きさなのです。わたしたちはこのことを忘れてはなりません。
 これを教えるためにイエス様は弟子たちを連れてエルサレム神殿の賽銭箱の前に座っておられたのです。様々な人が献げものを賽銭箱の中に入れる中、一人の貧しいやもめに目を留められました。彼女が賽銭箱に入れたものは、レプトン銅貨二枚(現在の300円程度)。しかし、イエス様はこの貧しいやもめのほんのわずかな献げものを見て、彼女は「だれよりもたくさん入れた」と彼女の行為を大いに賞賛されました。なぜならば、彼女は乏しい中から自分の持っている物すべてを献げたからです。ここに主に献げて生きる生き方の、この世の計算を越えた世界があります。ここにはご自身の命さえも、罪人であるわたしとあなたのために惜しまず献げてくださったイエス・キリストの十字架の愛の形が示されているのです。今日の貧しいやもめの小さな献身の姿は、わたしとあなたのすべて、全存在を献げることへの大きなチャレンジを今、呼びかけているのです。ここにレント(受難節)を過ごす人への御心が示されているのです。ハレルヤ!