2012.3.25

『 明日のことを思い悩むな 』(マタイによる福音書6:25〜34)
 本当に様々な出来事のあった2011年度でした。今はわたしたちの生活のすべての面を変えてしまった大震災のことがありました。大自然の恐ろしい力と脅威の前に、人間の無力さを痛いほど教えられた一年でした。この痛みと傷がいつまで続くのか予測することさえできない現状です。また、限りのない人間の欲望のはかなさを教えられた原発事故と経済危機に振り回されたわたしたちでした。
 これらの出来事を経験しながら新たな歩みを始めようとしている神の家族の耳に聞こえてくる神の御声があります。その声とは、「明日のことを思い悩むな!」という言葉です。この言葉ほど不確かな歩みを始めようとする神の民を励ます言葉はないのではないでしょうか。
 ある人は「明日」という言葉から「希望と光」を見出すことでしょう。ところが、もっと多くの人が「明日」という言葉から不安と恐れを抱くのではないかと思います。神の家族の皆さんはいかがでしょうか。「明日のことを思い悩むな!」という言葉には、神がわれらと共に歩まれるというインマヌエルの約束が含まれています。神が神の愛する子どもたちの傍らで息をし、力を与えてくださるといわれるのです。その約束のしるしとして父なる神は「大自然を見なさい」と指差してくださるのです。“空の鳥、野の花”をお見せになり、“あなたがたはこれらより価値ある存在ではないか!”と揺るがない確信をもって語っておられるのです。
 神の国を生きる人は、「沈黙の教師」である大自然の中で、即ち、一本の野の花、空を飛ぶ一羽の鳥の姿から神が支配されておられる神の国を見出すことになりますし、大自然を見ながら明日のことを思い悩まない覚悟を新たにする人です。そうです。神の国を求めることは難しいことではありません。それはイエス様を生活のすべての領域に迎え入れることであり、迎え入れたイエス様の息吹を感じながら共に歩く人の生き方なのです。その人こそ、「神の国」でありますし、その人を通して神の国は広がっていくのです。ハレルヤ!