2014.6.29

『 基本が一番 』(マタイによる福音書 22:34〜40)     田口昭典牧師
 全ての物事には基本があります。芸術やスポーツでは基本が特に重要だと言われます。その基本があってこそ、次のステップがあるのです。基本が豊かさへと私たちを導きます。…NHKの教育TVで趣味の講座が行われています。少し前のこと、柿沼康二氏を講師にした「オレ流・書の冒険」の講座がありました。すばらしい作品を沢山創作している人気の書家です。髪の毛を金髪に染め、いかにも前衛的な創作をする人のように見えます。確かに「アート」と呼ばれるような書を沢山書いています。しかし、対談を聞き、驚きました。毎日毎日、休まず臨書(りんしょ)を続けているというのです。臨書とは、古典の良き書を傍らに置き、そっくりそのままに書き写す事です。反復して、体が覚えるほどにお手本を写すのです。
最高峰に位置する書家は、基本を励む事を止めません。そこに進歩の秘密があります。一流を極める者は皆、基本に忠実なのです。基本、基礎、土台がしっかりしてこそ、ビルも建ちます。私たちの信仰生活も同じであるとしみじみ思いました。
私達の基本は何でしょうか?み言葉を生きるとはどういう事なのでしょう。私は何者であり、私は何処から来て、何処に向かっているのか?これが出発点です。私たちは、それぞれが「私は神に愛されているユニークな、掛け替えのない大切な存在であり、誰とも比較できない尊い一人一人である」と信じる事こそが、私たちの基本です。
私たちの信仰の土台は聖書。それは強調しすぎることはありません。「聖書にこう書いてある」だけではだめです。そのみ言葉を生きなければなりません。ヤコブは、「み言葉を行う者になりなさい」(ヤコブ1:22)と教えています。わたしたちが、基本とするみ言葉は、「神を愛し、隣人を愛せよ」ということです。これこそ、私たちの信仰の基本です。
神を愛するとは一体どういう事でしょう?また、隣人を愛するとはどういう事でしょう。このことが明確になるとき、私たちの使命も明らかになります。偉大なる宣教命令と言われるマタイ28:19−20節は私たちに愛の実践を教えてくれています。出て行くことの強調があります。弟子作りがテーマだと教えられます。バプテスマは交わりへの招きであり、み言葉の教えは命の糧の食卓を整える事につながります。教会の成長は全て基本にかかっています。先立って働かれる主と共に励みましょう。