2014.10.26

『 日々の改革を求めて 』(Ⅱコリントの信徒への手紙6:1〜10)
 本日は宗教改革記念礼拝です。1517年10月31日、ドイツのヴィッテンベルク大学の旧約学とヘブライ語の教授であった34歳のマルティン・ルターは、大学内の聖堂の扉にローマカトリック教会の問題を指摘する95か条の論題を書いた一枚の紙を貼りました。彼は、このことがやがてヨーロッパ大陸を揺り動かす宗教改革運動にまで発展するとは、思いもしなかったことでしょう。この一枚の紙はあっという間にたくさん印刷され、ヨーロッパ大陸を覆ったのであります。その時まで、ローマカトリックの腐敗と超越的な力に押されていた貴族や市民たちは力を合わせ、宗教改革の火を全ヨーロッパへと広げたのであります。この宗教改革によって、われらプロテスタント教会が誕生したのです。本当に神のなさることは人の思いをはるかに超えるもの、時に適って美しいことを讃美いたしましょう。
 「聖書のみ、信仰のみ、恵みのみ」という三原則のもとで、マルティン・ルターカルヴァン、ツヴィングリなどの宗教改革の時代を生きたキリスト者と教会は、聖霊の助けと導きによって勝利の旗を掲げることができたのです。この原則こそ、過去、現在、未来をつないでくれる信仰の核心であって、今を生きるキリスト者にも同じく求められる信仰であることに変わりはありません。
 マルティン・ルターは「キリスト者の自由」という本の中で、神の恵みは、人から他人へと流れていくべきだと言いました。キリストから湧き出てあなたと私にまで流れてきた恵み、その恵みが私たちを通して必要とされる人々に流れていかなればならないのです。私たちの持っている信仰とは、生きて、絶えず新たな命を生み出す運動なのです。「恵みの時に、わたしはあなたの願いを聞き入れた。救いの日に、わたしはあなたを助けた」(2節)今を生きるキリスト者の立つ場所こそ、恵みの場、救いの場です。改革は、あなたの立っている今を、恵みを受けた者として生きることからこそ始まるでしょう。その人はこの世のどんな苦しみにあっても恵みに立つことをあきらめません。本日のパウロこそ、恵みを貫いた人でした。
 教会は殉教者の血の上に立てられているという言葉がありますが、まさに、私たちに伝えられた信仰こそ、多くの殉教者が命をかけて守った尊い遺産であると言えましょう。彼らは死んでしまいましたが、私たちにこの世のものでは決して買うことのできない宝物を与えてくれたのです。ただ恵みによってしか与えられない宝物を!