2014.11.30

『 神の冒険 』(マルコによる福音書16:15)   田口昭典牧師      
 今日からアドヴェントに入ります。そして、「世界バプテスト祈祷週間」が始まります。アドヴェントはクリスマスを待望する時であり、同時に世界のバプテスト教会は、世界伝道のために祈り、献金する特別な一週間を過ごします。それは、中国伝道に生涯を献げた「ロティー・ムーン」という宣教師の生涯とその呼びかけを起源としています。
 彼女は活発な女性でした。学校の寄宿舎では尖塔の鐘に布団をつめて音が出なくなるようないたずらすらするような少女でした。両親は熱心なクリスチャンでしたが、彼女はキリスト教には興味関心がありませんでした。しかし、学校の伝道集会で、キリストの福音に触れ、19歳でバプテスマを受け、信仰生活を始めます。 やがて主の招きに答えて、婚約を破棄してまで、32歳で中国伝道のために宣教師となりました。現在米国アラバマ州バーミングハムにある米国バプテスト連盟女性連合(WMU)のビルの正面にはこのとき、彼女が持っていったトランクが展示されており、今も彼女の働きは世界伝道に献身する人々への励ましとなっています。
ティー義和団の乱の時、一時期日本に避難し、福岡の西南学院で教鞭をとった事もあります。宣教地が飢饉に見舞われ、餓死者が現れる中、彼女は持てるもの全てを中国の人々のために使い、ついには食べる事さえ止めてしまいました。衰弱し、倒れたロティーを中国のクリスチャンたちはアメリカに送り返しました。しかし、1912年12月24日、神戸港の船上からロティーは主のもとに還りました。
 彼女の訴えで、南部バプテストの国外伝道は進み、その推進のために国内の組織も整いました。毎年、アドヴェントの時期に世界伝道のためのクリスマス献金も彼女の提案で始まりました。WMUと呼ばれる女性連合の組織も生まれ、世界伝道を今も支え推進しています。
 アドヴェントとは「やって来る」という意味です。アドヴェンチャー(冒険)と同じ語源です。クリスマスは、神のこの世へのアドヴェンチャー・冒険でした。それは、神の信仰の冒険です。神は、人間を信じ、か弱いマリアを信じ、ヨセフを信じてみ子イエスを委ねました。神は、その全能のみ力を捨て、赤ちゃんイエスとしてこの世に突入するという信仰の大冒険をしたのです。それを「愛」と言います。 
 聖書はこの神の私たちへの信頼に満ちています。大丈夫!できる!任せなさい!委ねなさい!裏切り者のペテロの立ち直りを信じる主は、「あなたが立ち直ったとき、兄弟たちを励ましなさい」とさえ言ったのです。この信頼にあなたはどう答えますか?あなたの冒険は何?