2015.3.15

 『 多様性の中の一致 』 (エフェソの信徒への手紙4:1〜7)
 神が天と地を創造された時から今まで、世界を動かしている一つの原理があります。それこそ、多様性からの一致ということでした。これこそ、聖書の原理であり、教会共同体の原理であると言えましょう。
 使徒パウロは教会共同体に向かって、キリストの体の各部分であると言います。神は一人一人にそれぞれ違う賜物、才能を与えられたと教えます。しかし、みんなが違っているけれども一つの体を成す各部分であり、それぞれが一致を保ち、美しい調和を実現するのだと教えているのです。特に、パウロは本日の御言葉の中で、一致を保つためにキリスト者に求められる4つの品性を挙げています。それは、①高ぶりのないできる限りの謙遜 ②柔和 ③寛容の心を持つこと ④愛をもって互いに忍耐することです。
 聖書が教える「謙遜」とは、“創造者なる神の前に自分自身が被造物であることを認める態度”を表す言葉です。造られている者として高ぶることのできる人はいません。謙遜こそ、教会の交わりの出発点です。そこから、周りの仕えるべき人々の姿が見え始めるのです。また、「柔和」というのは、「よく訓練されコントロールされている野生の動物の状態」を表現する時使われます。すなわち、自分の感情や欲望、衝動をコントロールする心こそ柔和なのです。「寛容の心」とは、神の人間に対する忍耐を表すのに用いられる言葉です。ある人は「報復する力を持っているけれども決して報復しない精神」だと言いました。まさに、罪人である人間を赦し待っている神のように、わたしたちにも求められる精神です。最後に「愛をもって互いに忍耐すること」とは、寛容の心を実現する働きを表します。ここでは、「神の愛」が前提となります。すなわち、「相手を自分に合わせようとする意図を捨て、神の赦しの愛をもって互いのありのままを受け入れる」という意味です。これらの4つのキリスト者の品性が、さらに生み出すものがあります。それが、「平和」です。 “平和のきずなで結ばれて、霊による一致を保つように努めなさい。”(4:3)
 今私たちはレントの時を過ごしています。イエス様の公の生涯において、最後の最後まで望んでおられた祈りこそ、弟子たちの一致でした。父、御子、御霊の三位一体の神と同じように、弟子たちが一つになることを最後まで祈っておられたことを心に刻み、互いに相手への謙遜、柔和、寛容、忍耐をもって聖霊による一致を保つように務め、イエス・キリストの喜ばれる健康な体を作り上げて参りましょう。