2016.3.6

 『二つのおそれ』(マルコによる福音書4:35〜41)
 人類のテクノロジーは驚くべき速さで進化しています。少し前までは考えられなかったことが、今は当たり前になっていきます。インターネットさえあれば地球の裏側の人ともすぐ繋がることができます。すでに宇宙旅行ができるようになり、車の運転は近い将来自動運転になるそうです。しかし、いくら人間の科学技術が進化したとしても、どれだけテクノロジーが発展したとしても、自然界の法則の前には私たち人間は一切無力であります。それは、聖書の時代からまったく変わっていません。私たちは波ひとつ静めることはできませんし、風ひとつ止めることはできません。突然襲ってくる自然の力を止めることはできないのです。私たちは生きる上で様々な恐れというものに遭遇します。皆さんは人生の中で感じる「恐れ」といえはどのようなことが思い浮かぶでしょうか。一番恐ろしい事と感じたご経験はどんなことでしょうか。
 今週金曜日に私たちは忘れられない日を迎えます。3.11あの東日本大震災から5年が経とうとしています。東北地方を襲った1000年に一度と言われる未曽有の大震災でした。誰も予想しえなかった津波の被害に合わせて、原発事故とまさに想像を絶する被害の大きさに日本中が言葉にならない深い悲しみに包まれました。5年経った現在でも未だに多くの人が苦しみの中にあることと思います。私たちは被災地を覚えて祈り続けていかなくてはなりません。
私たちが恐れを感じた時どうするべきでしょうか。突然の絶望、試練が襲って来る時どうすればよいのでしょうか。弟子たちは一番近くにいるイエス様が見えませんでした。私たちはその時イエス様に気づくでしょうか。どこに目を向けるべきなのでしょうか。恐れの中でも、その問題に目を向けるのではなく、全てを支配しておられる神に目を向ける必要があります。恐れの中から神により頼むとき時、神が豊かに働いて下さいます。激しく荒れ狂う波の中でも、普段の穏やかな日常のような静かな波の中にも、どこにでも、イエス様が共におられます。その舟の上に、この教会に、そしてあなたと共にイエス様は確かにおられます。
                                 宮田祐亮神学生