2016.6.5

『 ネヘミヤに学ぶ① 』〜執り成しの人〜 (ネヘミヤ書1:1〜11)
 崩れ落ちた信仰共同体の痛みと厳しい現実を胸に抱き、心から愛の執り成しを続ける一人の人。そして、祈りの答えとして神の御手が働かれる時、自ら進んで積極的に信仰共同体を建て直していく一人の人。また、様々な批判と試練、誘惑と苦難が絶えない働きの現場においては、鋭い洞察力と知恵、リーダーシップをもって乗り越えていく一人の指導者、ネヘミヤという人です。彼はすべての面において保証されていたペルシアでの生活を後にして、祖国イスラエルの厳しい現実と神のビジョンを前に、喜んで自分自身を献げる決断を下す人でもありました。
 バビロン捕囚からの「第三次帰還」(紀元前445年)を率いたのは、祈りの人ネヘミヤでした。ネヘミヤという名前は“主が慰めてくださった”の意味です。彼は異国の地で生まれ成長しました。そして、彼はペルシア王アルタクセルクセス一世の献酌官という高い地位を手にするほど成功した人でした。
 しかし、彼は決して自分の成功や身の安全だけがあれば、自分の家族や身の周りだけが平和であればいい!という意識はもちませんでした。彼の心の中には、いつも祖国への熱い想いがありました。そして、滅ぼされたままの祖国エルサレムを悲しみ、エルサレムのために執り成し続けていたわけです。すなわち、ネヘミヤは愛国者だったと言えましょう。
 ネヘミヤはエルサレムから戻ってきたハナニという親族から打ち破れていたエルサレムの城壁の現状について聞くことになります。それを聞いたネヘミヤの反応を見てください。“これを聞いて、わたしは座り込んで泣き、幾日も嘆き、食を断ち、天にいます神に祈りをささげた。(4節)”
 わたしたちも常に家庭の城壁にヒビが入り崩れそうになる危機に直面します。また、信仰共同体の城壁が様々な敵の攻撃を受ける中で、厳しい戦いを強いられることも経験します。それから日本社会の政治、経済、倫理などの城壁が崩れ落ちていることを目の当たりにしています。このような状況の中で求められるのが“祈り”です。ただ、漠然とした空を打つような形だけの祈りでなく、日本社会の問題課題を胸に抱き、涙と命をかける執り成しの祈りを主は望んでおられます。
 これからしばらくの間、ネヘミヤの信仰と祈りを黙想しながら、信仰共同体を建て直すビジョンを現実のものにしていく力を学んでいきたいと思います。とりわけネヘミヤの城壁再建と信仰復興のために献げられた執り成しの祈りを身につけたいと思います。生きておられる神は、あなたの祈りを用いて倒れかけているすべての城壁を建て直してくださるでしょう。