2016.7.17

 『ネヘミヤに学ぶ⑤ 』〜共同体を奮い立たせる人〜 (ネヘミヤ2:16〜20)
 アルタクセルクセス王の好意を受けて総督としてエルサレムに帰還してきたネヘミヤは、まずエルサレムの現状を調べるために、ある夜密かに視察に出ます。特にネヘミヤは誰にも相談することなく夜通し城壁を歩き回り、その破壊された状況をしっかりと調査します。その後、どれほどの期間が流れたでしょうか。ついにネヘミヤはユダの人々にこれからの計画を知らせ始めます。ここでも神の時を待ち、時が満ちたところで共同体に呼びかけるネヘミヤの姿に出会います。
 ネヘミヤはユダの人々に城壁再建の働きに加わってもらうために、今まで神がどのように助けられたのか、アルタクセルクセス王がどのように自分に城壁の再建を赦してくれたのかなどの経緯について証しし始めます。「神の御手が恵み深くわたしを守り、王がわたしに言ってくれた言葉を彼らに告げると、彼らは「早速、建築に取りかかろう」と応じ、この良い企てに奮い立った。」。(18節)・・・ネヘミヤの証しには譲ることのない順序があります。それはまず、「神の御手が恵み深くわたしを守った」ということです。すなわちエルサレム帰還と城壁再建のすべての出来事の背後に神の御手が働いてくださったこと、れをネヘミヤは確信し、そのネヘミヤの確信に満ちた言葉を通して、ユダの人々もこれらすべての出来事の上に神の恵みの御手が働いていることを確信し、快く信仰の応答をすることができたわけです。これは一人の人の信仰の証しがもつ力がいかに素晴らしいかについて私たちに教えてくれます。一人の人が神の恵みの御手の業を信じて一歩を踏み出そうとする時に、その人の証しを通して周りの人々がまた励まされ、その確信を自らの確信として受け取り、一人からまた一人へとビジョンが広がっていく、これこそ信仰の証しのもつ力なのです。
 ところが、ネヘミヤとユダの人々が城壁再建に取り組もうと心を合わせたその時に、さっそく妨害の声に遭います。“ホロニ人サンバラト、アンモン人の僕トビヤ、アラブ人ゲシェム”(19節)これからしばらくネヘミヤと共同体の働きを妨害し続ける人々の名前です。そうです。私たちの信仰の営みにはこのような妨害の声が付きまといます。それは外側からやってくる言葉であるばかりでなく、しばしば私たちの心の内からも湧き上がってきます。「無理だ、駄目だ、出来ない、意味のないことだ」などなど。・・・しかしそこでネヘミヤは力強く語ります。「天にいます神御自ら、わたしたちにこの工事を成功させてくださる。」(20節)・・・これこそネヘミヤ記を貫く信仰の確信であり、聖書全体が証ししている信仰の確信です。私たちにとってもまたこの朝、主が私たち一人一人に求めておられる信仰告白がここに語られています。「天にいます神御自ら、わたしたちに成功させてくださる」。そうです。この働きを成功へと導かれるのは人間の力、人の頑張り、人間の計画と知恵によるのではありません。ただ、天にいます神御自ら!この信仰告白によって共同体は奮い立たされ神の業に励むことができるでしょう。ハレルヤ!