2017.3.19

『 テモテとエパフロディト 』 (フィリピの信徒への手紙2:19〜30)
 本日の御言葉にはパウロの同労者であり、誇りであった二人の兄弟が登場します。一人は、彼の霊的息子とも言われていたテモテ、そしてもう一人は、フィリピ教会のメンバーであり、今は牢屋にいるパウロの世話をするためにローマに来ていたエパフロディトの二人です。私たちはこの二人について分かち合うことで、教会の働き人に求められる姿勢と、働き人たちに対して教会がどのような関わりをもつべきなのかについて学ぶことができます。
 まず、“テモテ”のことです。“テモテ”という名前の意味は“神の栄誉”です。テモテは、ギリシャ人の父とユダヤ人の母の間に生まれ、敬虔なお母さんの信仰によって育てられ、パウロとの出会いを通してキリスト者になった人でした。その後、テモテはパウロの伝道旅行に加わりながら、パウロの霊的息子として、またパウロの福音宣教における同労者としての人生を歩むことになります。
 本日のテモテに対するパウロの言葉の中で、特に19節の言葉“力づけられたい”ためにテモテを“遣わす”というところが目にとまります。テモテは人と教会を力づける働きができる人であって、そのために遣わされた人でした。もし、あなたに出会う人が、また、あなたが行く場所が、あなたのゆえに“力づけられる”ようになり、あなたがそこにいるだけでみんなが励ましと慰めを得ることができれば、それほど素晴らしいことはないでしょう。まさにテモテは“神の栄誉”という名前にふさわしく、パウロとフィリピ教会を力づける働き人になっていくのです。それに加え、テモテはパウロと同じ思いを抱いて働く人であったとパウロは明かしています。
 続けてパウロは、もう一人、“エパフロディト”のことを紹介します。“エパフロディト”という名前の意味は、“愛される人、魅力ある人”という意味です。エパフロディトは、もともとフィリピ教会の大切な役割を担っていた人であったと思われます。それは、フィリピ教会が彼に、パウロに渡す宣教献金を託し、パウロの傍で助け手としての働きをするようにと派遣したことから分かります。
 とりわけパウロはここで、“エパフロディト”のことを、「兄弟、協力者、戦友、使者、奉仕者」という褒め言葉をもって紹介しています。実際、エパフロディトは自分がひん死の重病にかかって大変な状況に置かれていても、パウロに仕えることを休まず、またフィリピ教会の群れに自分の病のことが知られることを心苦しく思う配慮豊かな人でした。自分が病気にかかって大変でありながら、相手のことを先に配慮するエパフロディトの働き人としての姿は立派です。そこでパウロは、弱くなっているエパフロディトをフィリピ教会が歓迎し、敬うことを勧めます。そうです。教会は健康で、目に見える立派な働きができる人だけが尊敬されるところでなく、弱い人を歓迎し、病気を患っている人を尊ぶ、信仰の歩みを共にするキリストの体です。ここに神の国の素晴らしい姿があるのではないでしょうか。