2017.3.26

『 孤独と弱点を乗り越えて 』ルカによる福音書19:1〜10)
 本日は証し礼拝です。神の家族の皆さんに証しによって献げられるべき礼拝です。願わくは、神の家族お一人お一人の日々の生活の中におけるイエス様からの恵み、また人との出会いの中で得た聖霊の助け、神からの御業の物語を、感謝と喜びをもって分かち合っていただきたいですね。「物語のある教会」は幸いです。
 さて、本日分かち合う御言葉には、孤独と弱点を乗り越えてイエス様に出会う一人の人が登場します。その人の名前はザアカイ。ザアカイはユダヤ人でありながら徴税人でした。当時ローマは植民地のユダヤ人の税金を集めさせる徴税人の役割を同族のユダヤ人に任せていました。ですから、徴税人というとユダヤ民族の裏切り者だったわけです。しかも徴税人の中の頭ですから、ザアカイはなおさら多くの人の嫌われ者にされていました。また、ザアカイは背がとても低かったと紹介します。恐らく背の低かったことで周りからあざけられたり、からかわれたりしたことでしょう。だからでしょうか。ザアカイは自分の孤独と弱点を挽回しようとして、お金を集めることに必死だったことでしょう。しかし、お金には満ちていましたが、彼の心の孤独と身体的なコンプレックスによって幸せを覚えることはありませんでした。
 ある日のこと、自分と同じ徴税人を含むすべての罪人の友という噂のイエスというラビがエリコに来るという知らせが耳に届いたザアカイには、心から“遠くからでもいいからイエスを一目見たい”という願いが湧いてきたことでしょう。
 そこで、彼は急いでイエス様が来られるという場所へ走っていきました。しかし、彼の前に立ちはだかっていたのは、数えきれないほどの人の波。すでに人混みになっていましたし、もともと人より背が低かったザアカイでしたから、イエス様が近くを通ることがあってもこのままでは、人の壁のゆえにイエスを見る事ができない。人混みの中を潜り抜ける自信もない。・・・しかし、その時のザアカイの心はすぐあきらめてしまっていた時とは違っていました。ザアカイは、イエスを見るために、イエスが通られそうな道を走って先回りし、そこにあったいちじく桑の木に登ることになりました。
 イエス様は彼の予想通り彼のいる場所の方へと近づいて来られました。いや、イエス様が既にザアカイを知っておられた。そして、ザアカイが登っていた木の前まで足を運ばれます。それから、「上を見上げて言われます。『ザアカイ、急いで降りてきなさい。今日は、ぜひあなたの家に泊まりたい。』と。・・・その時、イエス様の口から呼ばれる「ザアカイ」という自分の名前。その時受けただろうザアカイの感動を考えてみましょう。“イエス様が自分の名前を知っている。イエス様がわざわざ自分のような罪人、空しさ、不安、壊れた人間関係や孤独に満ちていた者、たくさんの弱点をもっている小さな者を訪ねられ、名前を呼んでおられる!!!”・・・ その一瞬の出会いによって、ザアカイの人生はすべてが変えられる体験をするのです。
「人の子は、失われた人を捜して救うために来たのです。」(10節)・・イエス様の熱心に終わりはありません。