2017.8.27

〜 忘れること、忘れてはならないこと 〜
 数年ぶりに顔と顔を合わせた父親の認知症の症状がだいぶ進んでいて、息子が今日本にいるのも、日本で何をしているのかも、また孫たちの存在も憶えていない状況。よく言われているのが、新しい記憶の方から頭から消えていくということですが、まさに10分前に教えたことを再び尋ねても分からない・・・。しかし昔のある時の出来事に関しては細かいところまではっきり覚えていて驚きでした。それに加え、時には妄想に捕われ予想もしなかった行動に出る。その父親を長年支えていた母親の体力は著しく衰えていて、これ以上、母に父の世話を任せておくことはできないし、医者からの勧めもあったため、急遽、父親を老人療養施設にお願いすることになりました。複雑な思いの中、父なる神が親たちの健康と信仰を守ってくださるようにとゆだねつつ、富山に帰る備えをしています。
 私が東京のH教会で働いていた時、S病院の患者さんたちの病床牧会をしていました。入院患者さんの中には、日本バプテスト連盟の歴史において大きな足跡を残したM先生もいました。当時のM先生はかなり重い認知症を患っていて、家族のことも、働きのことも、教会のことも憶えておらず、まさに幼稚園児のような行動をとっておられました。しかし不思議でしょう。M先生が天に召される最後の日まで忘れていなかったことが「主の祈り」と讃美歌の「いつくしみ深き」、また祈りの生活でした。当時、私の声に合わせて大きな声で歌っていた先生の姿から大きな恵みを受けていたことを思い起こします。
 神の家族の皆さんはいかがでしょうか。皆さんが人生の終わりを迎える前に、絶対に覚えておきたいこと、忘れてはならないことは何でしょうか。また忘れてしまいたいことは何でしょうか。すべては忘れてしまっても、これだけは憶えておきたいことがあれば、私たちの人生を支配される神にお願いしましょう。シャローム