2017.11.12

『人によるのでなく、神によって』 (ガラテヤの信徒への手紙1:1〜5)
 ガラテヤの信徒への手紙は「自由の大憲章(マグナ・カルタ)」、「キリスト者の独立宣言文」とも言われているほど、キリスト者にとって非常に大切な真理が語られている書物です。宗教改革者のマルティン・ルターが「わたしはこの手紙と結婚した。この手紙はわたしの妻である」とまで言ったように、宗教改革においても大きな影響を与えた書物でありました。
 ガラテヤの諸教会はパウロの第一次伝道旅行の時に開拓した教会で、2,3次伝道旅行の時にも訪問しているほど、パウロの情熱が注がれたところでした。しかし、第一次伝道旅行の時に建てたガラテヤの諸教会には、パウロが離れた後、「異なる福音」を伝えるユダヤ教偽教師が現れ、信徒の間に間違った教えを深く浸透させ混乱を引き起こしていました。そこでパウロはそのような間違った教えに耳を貸さないようにと、ガラテヤの諸教会の信徒たちに偽りの教えの危険性を伝え、真の福音にしっかり立つようにというメッセージを急いで伝える必要があったわけです。
 パウロはガラテヤの信徒への手紙を独特な挨拶で始めています。まず、パウロは、「人々からでもなく、人を通してでもなく、イエス・キリストと、キリストを死者の中から復活させた父である神とによって使徒とされたパウロ、」(1節)と言う言葉でガラテヤ諸教会の信徒たちに自分を紹介します。自分が神の福音を宣べ伝える使徒となった根拠として、“人によるのでなく神によってなった”ことを声高らかに宣言しているのです。ここで私たちは使徒になるための大切な条件を教えられます。まず、十字架の上で死なれ復活されたイエス・キリストへの確信の上に立つこと、それに加え、そのキリストを遣わされた神によって召された者としての召命をもつことです。だから、キリストでなく、人によって使徒となったのなら、その人は偽りの使徒であるわけです。パウロはそのことに対して揺るがない確信をもっていました。
そしてパウロは父なる神の救いの計画に従い、悪の世から私たち罪人を救い出すために従順に十字架の上でご自身を献げてくださったキリストを証しします。これこそ福音です。すべての人は罪ある者として生まれ、罪に束縛されて歩み、罪の中で滅びてしまう存在でしたが、キリストが、罪人たちの代わりに十字架で刑罰を受けて死なれることによって救いの道が開かれたのです。この救いの道の他には救いを得る道はありません。
 パウロは挨拶さえ忘れてしまうほど、父なる神がキリストを通して成し遂げられた福音からガラテヤ教会の信徒たちを誘惑する偽りの教えに立ち向かいます。イエス・キリストの十字架の贖いの死による救いの恵みを日々覚えつつ、その福音を伝えて生きる小泉町教会の神の家族でありますように・・・。ハレルヤ!