2018.2.4

『人を分け隔てなさらない神』 (ガラテヤの信徒への手紙2:1〜10)
本日のガラテヤ2章の内容を学ぶためには、まず「エルサレム使徒会議」について知らなければなりません。
 使徒言行録10〜11章を見ると、聖霊の導きのもと、ペトロとコルネリウスとの出会いによって福音が異邦人へと広がることになります。それに続き、エルサレムで起こった迫害から散らされた人々によってアンティオキアに最初の異邦人教会が立つことが描かれています。そのアンティオキア教会で初めて「キリスト者」という名前で呼ばれるようになったことは有名です。当時のアンティオキア教会の指導者であったのが、バルナバパウロで、彼らの指導のもと素晴らしい教会が形成されていきました。ところが、そのアンティオキア教会においてエルサレムからユダヤキリスト者たちによる「異邦人キリスト者たちへの律法が定める割礼の実行」が大きな問題を引き起こすことになり、それが原因となってユダヤキリスト者と異邦人キリスト者が激しく対立するという危機に直面することになるのです。そこでこの問題の解決のために召集されたのが使徒言行録15章に記されている「エルサレム使徒会議」でした。この会議にパウロバルナバとテトスを連れて異邦人教会の代表として出席したわけです。そこでパウロは、割礼と律法に福音が捕らわれてはならないというキリスト教信仰と福音の本質について訴えることになります。すなわち律法の行いによるのではなく、ただ神の恵みによりキリストへの信仰によって救われる恵みの福音を、神はユダヤ人だけでなく異邦人にも分け隔てなさらないお方である(6節)ことを確かめます。
 さらにこの会議はこれからの福音宣教における初代教会の指導者であったペトロと異邦人伝道者であったパウロに託された召命と役割の違いを確かにする時となりました。“割礼を受けた人々に対する使徒としての任務のためにペトロに働きかけた方は、異邦人に対する使徒としての任務のためにわたしにも働きかけられたのです。(2:8)…ペトロを割礼を受けたユダヤ人への使徒として遣わされた神が、同じようにパウロを異邦人への使徒として遣わされたのです。しかしそこには決して変わることのないただ一つの福音、主イエス・キリストの十字架と復活の福音を宣べ伝えるという共通の目的がありました。
 私たちはこの出来事を通して大切な主の導きをいただきます。すなわち教会はイエス・キリストの福音という決して変わらない信仰のもとで、互いの違いと役割を認め、互いを祝福するということです。「一致と多様性」と言ったキリスト教会の素晴らしい恵みを認め合いつつ、聖霊の助けの中で美しい調和を成し遂げていくことこそ、キリストの体なる神の家族に求められる御心であるのです。
 本日は主の晩餐式を執り行う恵みの日です。主イエスはパンを裂き、一人一人の弟子たちに与えられました、“これこそあなたがたのためのわたしの体である”という言葉と共に。そして聖書は“あなたがたはキリストの体であり、また、一人一人はその部分です。”と教えてくださる。そうです。神の家族お一人お一人は、みんながキリストの体を成す大切な大切な各部分であることを確かめ合いつつ、キリストの愛の中で健康を保つことです。ハレルヤ!