2018.4.8

 私の好きな映画に「島」と いう映画があります。舞台は極北の小さな修道院。主人公の老修道僧は、戦時中に敵に脅されて仲間を射殺した罪に常に苦しめられ、毎日近くの「島」にボートを漕いで行き、そこで泣きながらイエスさまに救いを求めます。修道院ではボイラー室に住み、近くの露天場から石炭を掘り出して運ぶ役割を続け、いつも黒く汚れ、炭塵に肺を侵されています。ところが神様はその老僧に予見と癒しの賜物を与えられます。いろいろな願いを持って訪ねてくる世の人々と老僧との交わりの中で、人々の心にある小さな欲や嘘が可笑しな描き方で見えて行きます。
 この老僧、他の修道僧たちとは溶け込まず、偏屈で奇異なふるまいをします。若いリーダーは、自分にはない霊的賜物をいただいた老僧に対する妬みに葛藤します。修道院長は、修道僧たちの調和を保とうとし、老僧を理解しようとします。私が好きなのは、この3名がそれぞれ自分の場所で祈る姿が交互に切り替わるシーンです。修道院長のとりなしの祈り、若いリーダーの悩みの中の祈り、老僧の苦しみの中の祈りが不思議と調和します。最後は、いろいろと解決して、老僧は平安のうちに死にます。その墓に立てる十字架を背負って泣きながら雪の中を行くのは、彼に反発していた若いリーダーでした。極北の風景が美しく、心温まる映画です。
                 S.M姉