2018.9.9

〜 一人の伝道者を偲ぶ 〜
 先週、以前紹介したことのあるS師が召天されました。まだ50代の中盤と若く、牧師としても最も活躍すべき時に神に呼ばれたので、言葉では言い表せないほどの驚きと悲しみに包まれて過ごした一週間でした。 
 S師と初めて出会ったのは今から23年前の登戸駅でした。S師の最初の印象は「強烈」そのものでした。清潔感のある白いワイシャツ姿で、透き通るような声で、高らかに福音の言葉を伝えるS師でした。「イエス様はあなたを愛しています!イエス・キリストを信じてください」と駅内に響き渡る叫び声。・・・当時の私は、日本に来て2ヶ月足らずで、日本語も殆ど話せませんでしたが、勇気を振り絞って近づき、自分が韓国からの留学生で、クリスチャンであることを身ぶり手ぶりで伝えました。その時S師が笑顔で「閔くん、日本に来てくれてありがとう!」と親しく声をかけてくれたことを覚えています。その後、S師とは東京の吉祥寺駅で路傍伝道をしたり、互いの家を行き来したりしながら交わりを深めていました。日本の地で、もう一人の兄弟を得たような感じでした。
 もともとS師は物理を専攻し、研究所に務めるエリートでした。そんな彼がある日「研究所を辞め、福音伝道者になるんだ」と神からの召命を伝えてくれました。一瞬彼の決断に驚きながら、彼のもっていた素晴らしい賜物が福音伝道者として発揮できることを期待し神の祝福を祈っていたことを思い出します。S師は、人との間に境界線を作らず、街で迷う青少年たちやホームレスの方々の中にスッと入って行ける、本当に素敵な伝道者でした。
 日本中が台風と北海道地震による被害で不安と悲しみに包まれている今の時、突然のS師の召天で悲しむご家族の上に主の慰めと励ましが豊かに注がれますように…。神の家族の皆さん、人生の中に突然襲ってくる様々な出来事のゆえに振り回される私たちですが、忘れてはならないのは、すべての出来事の上に働く神の最善のご計画と導きを信じ、主の栄光が現わされることを心がけながら歩むことです。シャローム