2018.9.23

『サーバント・リーダーシップ 』 (マルコによる福音書10:42-45)
 サーバント・リーダーという言葉を聞いたことがありますか?私は東京にいたので知らなかったのですが、閔先生が数年前にテーマとして取り上げたことがあるそうです。私は今墨田区に本部のある社会福祉法人賛育会で理事として職員の研修の講師を担当しているのですが、期せずして昨年から管理職のリーダーシップ育成研修にサーバント・リーダーシップの理論を取り入れています。「サーバント・リーダーシップ」の理論は、米国の元AT&T(通信会社)マネジメントセンター所長であったロバート・グリーンリーフ氏が、1970年に提唱したリーダーシップ理論です。企業や組織にはカリスマリーダーシップなど様々な指導者育成の理論がありますが、グリーンリーフは「リーダーとしてのサーバント」という、一見矛盾するような考え方を提唱したのです。
 リーダーは指導者、つまり教え導く人。サーバントは、奉仕者、つまり仕える人なのです。
私たちは、しばしば組織や団体の中で自分たちの団体にはリーダーがいないと嘆きます。私たちが思い描くリーダーは、力強く、自分たちや組織をぐいぐい引っ張り、組織の目的や夢を叶えてくれるようなリーダーです。
 ちょうど新約聖書の時代にローマ帝国に支配されていたユダヤ民族がローマから独立させてイスラエルを再び偉大な国に導く指導者を求めていたように、リーダーというイメージには強さや自信に満ちた信頼感が伴うのです。
 サーバントというイメージには、そのような強さは感じられず、弱々しささえ感じます。
ロバート・グリーンリーフは、サーバント・リーダーの考えを、ヘルマン・ヘッセの短編小説「東方巡礼」を読んで、閃いたそうです。これからの企業、大学、教会、いやどんな組織も、国の指導者でさえ、リーダーがサーバントである組織が発展すると説きました。
 彼の予測通り、今日、世界中で成功している多くの企業は、サーバント・リーダーシップの理論で発展しています。日本でも資生堂星野リゾートユニクロなどは有名です。アメリカの片田舎の喫茶店を世界的なカフェ・スターバックスにした社長は、数店であった時にサーバント・リーダーシップの本を読んで感動し、マネージャーにグリーンリーフの本を配ったそうです。
 私たちクリスチャンは知っています。真のサーバント・リーダーの提唱者であり、実践者はイエス様であることを。そして、私たちの教会は閔牧師を筆頭にサーバント・リーダーの人でいっぱいです。「人の子は仕えられるためではなく仕えるために、また、多くの人の身代金として自分の命を献げるために来たのである。」(マルコによる福音書10章45節)
                                                島田 茂